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Directed and Produced by
純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2000年5月のニュース一覧
▼[2000.05.31]そして偏在する少女は空を見上げる
▼[2000.05.30]個の表出は明確な理論となる
▼[2000.05.29]ワイヤード・タイム
▼[2000.05.28]密造酒でタダ酒の味は,蜜の味?
▼[2000.05.27]テレビじゃない
▼[2000.05.25]新たな窓を開くとき
▼[2000.05.24]彼女の居場所は
▼[2000.05.23]ラブ・バグとは,なんだったのか?
▼[2000.05.22]罪負う者
▼[2000.05.20]アップルことわざ辞典
▼[2000.05.19]未来は何処,過去は何処
▼[2000.05.18]「宇宙士官候補生」
▼[2000.05.17]創造力を司る指先
▼[2000.05.16]遺書
▼[2000.05.15]電子情報保管術
▼[2000.05.14]新世紀への扉
▼[2000.05.13]大冒険
▼[2000.05.12]segaを誇りに思う日
▼[2000.05.10]誰か,奴を,捕まえろ!?
▼[2000.05.09]ハイジャック犯が隣にいたこと
▼[2000.05.07]グヌーテラの道先
▼[2000.05.06]愛の,犠牲
▼[2000.05.05]愛ほど興味心をくすぐるものは…
▼[2000.05.04]アトミック・ボム,ナノ・テック
▼[2000.05.03]見えない君を探して
▼[2000.05.02]唯一無二の解決法

■2000年6月のニュース一覧
■2000年4月のニュース一覧

 
[2000.05.31]
  そして偏在する少女は空を見上げる


 ▼フランスはWeb検閲の時代へ?(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0005/29/france.html


 彼女はどこにでもいる。どこにでも,偏在している。どのような規定も受けぬ地で,彼女は空を見上げる。瑞々しく,優しさに満ちた青が,広がっている。

 23日にフランスの下院を通過し,上院で審議されている法案は,インターネット上でなにかを公開する場合,オンラインフォームでの登録を義務づけている。市民団体などは,個人のプライバシーを奪うと反論している。もしフランスでこの法案が可決されれば,欧州全体に広がる可能性もある。

 オーストラリアでは,今年の1月1日からオンラインの検閲体制が敷かれた(WIRED NEWSの記事)。国内のホスティングデータの削除命令を出せて,プロバイダーに国外の指定したコンテンツへのアクセスをブロックさせることもできる,というもの。ネットワークの進展は,国家という「規定」を崩しかねないものだ。だから,国家はそれを阻止する。当然のことだ。人間は,自らの欲望のために「規定」をつくる。国家もそうであり,宗教もそうであり,倫理もそうだ。がんじがらめの規定の中で,自らを維持できるものが,優れた人間と呼ばれる。優れた国民,優れた信仰者,優れた道徳者。そして概ね,そのような人物たちは,能無したちだ。規定通りに生きることほど,楽なことはないからね。

 リアルとは,すでに閉塞した社会へと追いつめられている。閉塞した社会とは,規定を重んじる者たちには有意義な社会だ。だがその世界には,終末しか見えない。さて,ワイヤード。リアルで閉じこめている「言葉」,リアルで閉じこめている「表情」,リアルで閉じこめている「絆」を,この地はまだ表せる。「規定」としての神がいない,「偏在」の神が棲む世界。その空の青さは,胸に染み入る。



 
[2000.05.30]
  個の表出は明確な理論となる


 ▼日立、次世代画像検索技術を開発(ASCII24)
  http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/2000/0529/devi01.html


 たとえば,レンブラント・ファン・レインの陰影の光量,パブロ・ピカソのエッヂの削ぎ方。実はそれが数値として明確化できる。似せてつくっても,数値に違いはすぐ現れる。画像に個性があれば,それは学術論文と同じ理論を持ち,検索は容易。

 日立製作所は29日,仮想3D空間で,類似の画像を検索できる新技術を発表した。この検索システムは,あらかじめ各画像の色空間分布,濃淡,解像度などのデータを取得しておき,指定した画像と似た画像を探すことができる。検索画面のインターフェイスは3Dを使い,球状星団のように画像が浮かび上がり,その空間を歩き回りながら画像を閲覧できる。

 画像というのは探しにくいもの。画像のインデックス(ファイル情報を抽出したもの)の作成というのは,あまり意味を見いだされなかった。ライコス社のマルチメディアサーチ(英語版の方)は,サムネイルも表示されて使いやすいが,いかんせんALTタグの情報だけではゴミも多く,目的の画像以外が出やすい。こんな_感じ_の画像,という要望はかなえられない。

 だが,実はテキスト以上に,画像のインデクサ(インデックスの作成)は明確に情報を表す。著名な画家ほど,使用する色空間と,そこからつくられるヒストグラム情報,カラートーン,濃淡などの数値は,一致していくという。すなわち,その人間が作ったものの個性が強く刻まれているということ。夜の風景を描いた絵と昼の風景を描いた絵でも,同様の情報が刻まれている。見た目には_雰囲気_でしか表せないことも,数値として認識できるのだ。これは,写真家や映像作家などの作るものも同様だろう。実はテキスト以上に,検索対象としては面白い。



 
[2000.05.29]
  ワイヤード・タイム


 ▼インターネットタイムについて(アップルコンピュータ)
  http://www.apple.co.jp/hotnews/swatch/index.html


 今日は,ニュースではありません。この世界の「時間」について。そして,このページで時間を過ごしていただいた方に,大きな感謝を込めて。

 スイスの時計メーカー,スウォッチ社はインターネットタイムという時間を計る基本単位を提案している。その単位がスウォッチビート。実際の1日を1000ビートに換算する。「デジタルの世界が人々のライフスタイルを非同期なものにしつつある(ニコラス・ネグロポンテ)」。そのために,インターネットタイムは必要だ。

 インターネット上のデータ量は,100日で倍増するという。100日で倍ということは,200日で4倍,1年経つと10倍近くになる。量だけではない。そこには,猛スピードで走り抜けるほどの進化が伴っている。よく引き合いに出されるインテル社創始者のゴードン・ムーアの法則。CPUの性能は18ヶ月で倍になる,というもの。それは,インターネット上でも生きている。いや,すでにこの世界の持っているスピードは,それを上回っている。18ヶ月前の技術など,もう見向きもされない。あきらかにこの世界には,違う時間が流れ,その時間に人間は突き動かされ,新たな進化を遂げようとしている。

 このページでは,過去1年間,365日で304個のニュースを取り上げた。基本的には興味を持った話の中から1つを選んでいるわけで,情報は尽きないどころか,あふれている。取り立てて気づかっているわけでもないのに情報はぼろぼろと出てきて,さらに気付くことのない膨大な情報も常に行き交っている。1年365日,1日は24時間なんていう時間では,この情報を支えきれない。ワイヤード・タイムで,生きるべし。



 
[2000.05.28]
  密造酒でタダ酒の味は,蜜の味?


 ▼電子音楽を取り巻く状況は「まるで禁酒法時代」(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0005/25/real2.html


 去年はユーザーの個人情報取得がばれて散々な立場に立っていたグレーザーだが,今年は言葉も明澄。密造ジンか…。人は酒屋の酒よりも密造酒の方がうまいと思うものだしね。

 リアルネットワークス社のCEO,ロブ・グレーザー氏は,ナップスターなどに対する音楽業界の取り組みを,禁酒法時代の「密造ジン」と似た状況にあると述べた。また,デジタル音楽配信の現状については「販促のための小出しのダウンロード」と指摘,全楽曲を入手できるようにする必要があり,その作業は18ヶ月足らずですむという。リアルネットワークス社は,セキュリティを備えペイパービューも可能な「リアルシステム8」のベータ版を披露した。

 昨年からビットミュージックでネット配信を行っているSME。まぁプロテクトの解除が面倒で,ファイルが扱いづらいだのなんだの聞きますんで,そんならCD買ったほうが楽だそうですな。DL一曲に350円は馬鹿馬鹿しい。マキシシングルが1200円なのに,経費が全然かからないネット配信がなんでこの値段なんですかね。ぼってますね(一言で済むな)。これがみんなが望んだネット配信の姿ですか? そのわりにはネット配信を利用している人なんて,お目にかかったことないですが。おれはがんがんつかっているぜ,という方がいたらご意見ください,いないと思いますけど;-P.

 ナップスターの状況は厳しい。RIAAとの訴訟の第1ラウンドに負け,メタリカからの違法ユーザーのアクセスを停止したら,そのユーザーから非難轟々(WIRED NEWSの記事)。だが,ネット配信はとんでもなく値段が下るか,またはダ〜タ〜でなければ定着しないという話もある(ZDNet Newsの記事)。いや,結局のところCDにみんな帰ってくるという意見さえある(ZDNet Newsの記事)。そして,法規制でナップスターがなくなっても,グヌーテラがあるから楽曲交換は現在と変わらずに続いていくという話も(Nikkei BizITの記事)。ナップスターを訴えるのは簡単だが,ユーザー何万人,何十万人を訴えることはできない。そして,密造酒は法律を変えていく。甘い甘い,その味を持ち。



 
[2000.05.27]
  テレビじゃない


 ▼RealNetworks,Intelと共同開発の高画質技術を披露(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0005/25/real.html


 「目の前にビジョンが広がる。瞬きの後,僕は,ビジョンの中へ。夏色の風が過ぎて,草木の匂いが鼻を過ぐる。指先のチャンネルを変えると,僕はスタジアムのど真ん中。バッジオの稲妻のようなシュートが鼻先をかすめる。再び指先のボタンを押す。君の肌の温度。鼻を突く情欲の扉。デジタルな僕と,デジタルなビジョンは,シンクロさせることができる。四角い枠に閉じこめられたテレビなんて,狭すぎる。」

 リアルネットワークス社は24日,インテル社と共同開発したストリーミングビデオプレイヤー「リアルビデオ8」のベータ版を披露した。リアルビデオ8では,200Kbps接続でハーフスクリーンのVHS品質,500KbpsでフルスクリーンのVHS品質,広帯域にはDVDに近い品質を実現するという。

 MSのウインドウズメディア,アップルのクイックタイムが必死に追いかけているのに,どうやっても追いつけないリアルネットワークスの力は,いったいなんなのだろうか。現代七不思議のひとつかな? 今回の記事ニュースも聞こえはいい。だが,これは取り立ててあげつらうニュースではない。我々は,テレビの四角い枠の中には,なんの希望も,なんの救いもないことを知っている。

 ワイヤードは,もうひとつの現実と,なりうる。その中のデジタルビジョンに意味があるとすれば,我々が肉体を持ってその中に入り込めることだ。自らの身体をメタファライズし,視覚・聴覚・触覚のすべてをデジタル信号として配置した世界へと。たかがテレビなら,テレビで見ればいい。ウェアラブルを着込んで,ワイヤードをさまよう私が,映像に期待すること。それが,デジタル・ストリーミング・ビジョン。



 
[2000.05.25]
  新たな窓を開くとき


 ▼未来のブラウザーを追求する(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20000523305.html


 閉じられている窓を開けよ。その窓から見える風景が,新しい世界となる。いつまでもエクスプローラーを使っていてはいけない。次の窓が,必要だ。

 情報インターフェース展「第3回国際ブラウザーデー」では,35のいろいろなブラウザが提示された。最優秀賞を勝ち取ったのは,不要な情報を取り除くテキスト・フィルタを備えた「ハイパーSPC」と,どんな情報でも収められる形態折り畳み式ボックス。その他にも,あらゆる情報を瞬間的に収集・処理する量子ブラウザー,オーディオ中心のテラソニカ,網膜や脳波を入力に使うブラウザなどのプレゼンテーションが行われた。

 例えば,リアルネットワークス社。昨日発表されたリアルエンターテインメントセンターは,ただの音楽プレイヤーからどんどんと進化している。リアルネットワークス社は,ネットスケープ6のライセンスも取得しており,次のバージョンでは,ウェブブラウザを内包した製品となることが予想される。メディアに圧倒的に特化したウェブブラウザ,侮れない存在かもしれない。

 ブラウザとは情報に対する「窓」だ。窓によって,そこから見える風景はまったく違うものとなる。人間は,目という窓で,世界を見ている。人間の目が,みんな同じだと思ったら大間違いだ。見る人によって,まったく違うものが映っているもの。情報も,どのような窓を通すかで,まったく異質のものとなる。例えば,手の触覚と繋がったブラウザ,心の弦線と繋がったブラウザ,神経シナプスの興奮と抑制と繋がったブラウザ…,世界はブラウザによって作られる。…自らをメタファライズし,情報を中で自由に動き回るためのブラウザは,ワイヤードにとって,必要となる。誰か作ってくれい(^_^)。



 
[2000.05.24]
  彼女の居場所は


 ▼バーチャル・キャラクターは効果的か(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20000523206.html


 人間関係が希薄になったって,別にいいぢゃないか。私には,彼女がいる。誰よりも私のことを理解し,私の行動をサポートし,私を…。

 ベットヒャー・ヒンリクス社はバーチャル大統領候補,ジャッキー・ストライクのサイトを公開している。バーチャル・ニュースキャスターのアナノバや,モトローラ社のプレゼンターとなっているMyaオッドキャスト社のホストであるK,オリンパス社のサイトホストのマークなど,バーチャルキャラクターが多く誕生している。

 パーソナルコンピューターの目標のひとつのカタチは,万能のエージェントとなることだ(過去記事)。利用者の言葉や思考を理解し,その作業のサポートを行い,必要に応じて助言し,利用者を満足させる。自ら思考を行い,自ら行動する。あたかも忠実な執事のように,行動を支えてくれる,そんな存在。パソコンという箱は,まだまだ,まだまだ,進化すべき点が多い。

 まったくなんの役にも立たないけども,その存在感が際立っていて,私たちを嬉しくさせたアイボのように,まだ役に立たないバーチャルキャラクターたちにも,そんな存在感が欲しい。上記のキャラたちを見ていると,なんとかして人間に近づけようという気持ちが先行して,そんな存在感に欠けるものが多いのが残念だ(そこをきちんとわきまえれば,大人気キャラを作れますよ,ウェブを持て余している日本の企業さん)。人間がネットワークですべての行動をする時代が来るなら,エージェントはネットワークの中にいてくれればいい。彼女の居場所として,ここはとっても意味があるし。



 
[2000.05.23]
  ラブ・バグとは,なんだったのか?


 ▼「NewLove」ウイルス,大規模感染に至らず――警告が奏功?(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0005/22/newlove.html


 ラブ・バグ(過去記事12)とは,なんだったのか?(気が早いって…) 全米のユーザーの4%を巻き込んだ0という驚異的な拡散力を見せて(ZDNet Newsの記事),あっという間に引き潮となった,その,意味とは?

 先日猛威を振るったラブ・バグの類似ウイルスで,より悪性の高い「ニュー・ラブ」が検知されたが,どうやら隔離に成功したようだ。ユーザーの警戒心や,アンチウイルスベンダーの迅速な対応が功を奏した。ネットワークアソシエイツ社では,このウイルスの危険度を「高位」から「中位」に引き下げた。

 ラブ・バグ(SIT圧縮,取扱注意;-P)のソースをのぞいてみると,私のようなVBに詳しくない人間でも,なんとなくわかるほどの簡単さ。きっとVBでいろいろやっている人なら,0から書くことも難しくないだろうし,ちょっと変種を作るなんてのも楽だろう。もし,という話をしても仕方ないだろうが,ラブ・バグがもっと破壊力の強いものだったら,もっと伝播力の強いものだったら…。初心者でもわかるようなコードで,世界をずたずたにすることは可能だったのだ,と考えさせられる。

 どこでも云われていることだが,メリッサであれほど苦い目を味わいながら,また同じことを繰り返した。まぁ同じ過ちを起こすのが人間,と話をくくってしまえば終わりだけど,愛という名の夢魔は,常に,その隙を狙っていたことは間違いない。いつか,その隙に差し込まれる刃が,本物の,命を落とす刃になる。たった275行のコードで,世界は壊せる。



 
[2000.05.22]
  罪負う者


 ▼少年殺害の誘因はウェブサイト?(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20000519206.html


 人は,空の蒼さを見て,人を殺してしまうこともある。だが,空にはなんの罪もない。

 16日に起こされた訴訟で,北米男性/少年愛協会の運営するウェブサイト「Nambla.org」と,Nambla.orgをホストしていたプロバイダーが訴えられた。これは,97年10月にNambla.orgを見た後で,少年を誘拐して残忍な仕打ちをし,殺害した男性の事件によるもの。男性は終身刑に服している。

 折々掲示板に出没し,犯行の直前にも書き込みをしていったバスハイジャック犯(過去記事)。自分のウェブサイトで多くの人と言葉を交わし,自殺の直前にリアルの名前と,遺書の残していった少年(過去記事)。何度も「本気だ」と書き残してから電車内でハンマーを振り回す暴挙に至った少年(Mainichi INTEERACTIVEの記事2chスレッド)。ゲームやウェブに罪を求める偏重的な報道は,いまだになくなりはしないが,これらの事件は,どれもワイヤードとかすっているだけに過ぎない。記事後半にあるように,ウェブサイトやプロバイダーに,現実的な罪が認められることは,まぁないだろう。それは,空の蒼さに罪を求めることと同じだからだ。

 ワイヤードは人を殺せるか? 殺せる。確実に殺せる。ウェブサイト上で,ゆっくりと静かに,ひとりの人間のイメージに傷を与えていき,あるときは刺激的に,あるときは情感的に,反感を煽っていく。「ペンは剣よりも…」という言葉があるが,ワイヤードはペン以上の力を持っていることは,もうわかっているだろう。だがそれも,ペン自体に犯行への責任があるわけではない。常に責任は,情報を受け取る人間,以外には,ない。



 
[2000.05.20]
  アップルことわざ辞典


 ▼Star Wars Episode II being rendered with Maya on MP G4s?(MacOS Rumors)【英語】
  http://macosrumors.com/?view=recent


 アップルのためにあることわざ辞典。一芸に名ある者は必ず用いらる,芸が身を助けるほどの不仕合せ(ぉぃぉぃ(^_^;),一芸は道に通ずる,多芸は無芸(いや,これはMSの言葉か…(^_^;)。

 いくつかの報告によると「スターウォーズ」エピソードIIの制作初期段階の映像が,いまだ未発表であるアップル社のマルチ・プロセッサーのパワー・マッキントッシュG4上の,3Dアプリケーション・マヤで作られているらしい。ルーカス・フィルム社では,エピソードIで使っていたシリコン・グラフィックス社のワークステーションでの作業を,G4に移動させようとしている。

 アップルはムービー・トレイラーの充実ぶりにも表われているように,映画業界との繋がりを大きくしている。Maya on Macの発表も,それに通じる(過去記事)。iMovie,ファイナル・カット・プロのような製品も勢いがあるし,この分野でのアップルの地位を高めようとしていることは,明らかだ。

 マルチプロセッサG4上のマヤで,スターウォーズの3Dが作られるというのは,そんな動きを如実に表した噂だ。真実味を帯びるにはちょっと時期が早すぎる気もするが(-_-;)。マックの,DTPのプロのための機械としての繁栄は,スランプの最中のアップルの首をつなぐ,生命線ともなった。マック以外でのDTPを考えられなかったことで,プロは使い続けてくれた。次世代のために,映像のプロはマック以外に考えられないという地位が欲しい。ルーカス・フィルムも,G4に移行しそうかな。



 
[2000.05.19]
  未来は何処,過去は何処


 ▼21世紀の自分にメッセージが送れる無料サービス「14days!未来メール」(ZDNet Internet Channel)
  http://www.zdnet.co.jp/internet/news/0005/12/news01.html


 ワイヤードの地に埋められたタイムカプセル。だが,タイムカプセルとは,常に,「埋めた記憶はあるが,掘り出した記憶はないもの」である。ワイヤードの過去は,何処? 未来は,何処?

 出発前の旅情報・記念日ギフトを扱うサイト「14days」では,新しいメールサービス「14days!未来メール」を開始する。「14days!未来メール」は,今日の天気や気分,行動などをフォームで送信すると,21世紀の自分宛にメッセージが送れるサービスだ。

 正確には,ちょうど1年後に,自分が書いた内容のメールが送られてくるらしい。ワイヤードを支配している時間は,リアルの7倍にも8倍にも相当するという(ジム・クラークは,それを『ネットスケープ・タイム』と称した)。昨日のことさえ,遠い過去の記憶のものと成り果てるほど,猛スピードで疾走し続ける世界,1年後の「ここ」が,どうなっているかなんて,誰も予想できない。そんな世界の「1年前」から届くメール。

 過去は土の中にあり,未来は空の高みにある。人は過去にすがって,土を掘る作業をすることもあるが,たいした過去は見つからない。だから,タイムカプセルを掘り出した記憶というのは,いつもない。ましてや,この地のスピードの速さは,過去をさらに無聊なものに変えそうだ。まっ,そのスピードの中にいつも埋まっていく過去に出会えるのも,面白いかもしれないけどね(^_^)。



 
[2000.05.18]
  「宇宙士官候補生」


 ▼宇宙探索についてのQuickTimeストリーミング放送が5月18日から開始(Mac Fan net)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0005/16/n_mcwwdc2.html


 「時間(とき)溶かして行くよ 謎と希望の星まで 限りない夢秘め 孤独の瞳輝く」(「宇宙士官候補生」YAPOOS)。

 国際宇宙共同協会は,宇宙探索の模様をクイックタイムでストリーミング放映するスペースTV!を5月18日から隔週で開始する。最初の3回の放送では,宇宙ステーションが取り上げられる。

 宇宙探索の模様というとちょっとおおげさな,科学テレビ番組という感じ。クイックタイムのコンテンツは,話題力のある映画予告編を集めたムービー・トレイラーが,映画をまったく観ない私でも楽しい。クイックタイム・チャンネルの豊富なコンテンツのためには,スペースTV!のような教養あるものも必要だろう。ひと頃のマーケティング力が徹底的にないアップルの姿を覚えていると,これだけのチャンネルが集まっているのは,なんか妙に感心してしまう(^_^;)。

 「いつも,宙のことばかり,考えていた。果てのない宇宙へ,果てもなく旅することを夢見ていた。21世紀も目前となって,いまだ,それが可能となる社会とはなっていないが,僕は,ワイヤードでその希望をかなえている。果てのないワイヤードへ,果てもなく旅し続けている。かすかに頬を照らすのは,月明かりか,DOWNSTREAM LEDか。君預けてきたリアルの地が遥か彼方に輝く。二度と逢えないかもしれないけど,星をひとつ「持って帰ろう,君に」。



 
[2000.05.17]
  創造力を司る指先


 ▼Mayaが2001年初頭にMac OS Xに登場(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0005/16/n_mcwwdc2.html


 創造力を司る指先があるとしたら…。創造力はどこにでもある。後は,それをカタチにする力。その力を指先に与えるものは…。

 サンノゼで開催中の世界開発者会議(WWDC)の基調講演で,アップル社CEOのスティーブ・ジョブズは,2001年初頭にエイリアス・ウェーブフロント社の「マヤ」の,マックOS X版が登場すると述べた。マヤは,ブルースカイ,PDI,ピクサー,ディズニーなどで使われている,現在利用できるもっとも先進的な3Dグラフィックアプリケーションだ。

 昨年は新パワーブックの発表などもあったりしたWWDCだが,今年は,完ぺきに趣を変えて,開発者,エンドユーザーに的を絞ったものとなっている。基調講演の隠し球となったのも,コンシューマーにはなんの関係もない,Maya on Macだ。なにせウインドウズNTとSGIで発売されているマヤ2.5のコンプリート版は99万8000円,アンリミテッド版は198万円(^_^;)。

 コンシューマーには総合的な魅力と,使いやすさが伝われば,売れる。iMac,iBookのヒットは,当然のことだった。さて,プロには…。徹底して他と差があるマックOSの使いやすさは,物を創造することを妨げない。クオークエクスプレスやフォトショップが,同じ機能をウインドウズで使えても,マック版に価値あるのは,そのためだ。だから,Maya on Macの意味は遥かに大きい。3Dゲーム,3Dアニメーション,3Dムービーは,Maya on Macで,さらに飛躍する,必ず。



 
[2000.05.16]
  遺書


 ▼HPで自殺を予告/18歳の少年、秋田市で飛び降り死亡(秋田魁新報)
  http://www.sakigake.co.jp/news/200005/20000514.html#Anchor6


 もういない人間の言葉として,遺書はある。だが,電子上に残された言葉は,生き続ける,遺書であっても。言葉は死なない,そして,言葉を紡ぐ人も死なない,この地では。

 秋田市の無職少年(18)が,自分のホームページに「これから飛び降りる」と書き,その直後にマンションから飛び降り自殺をしていたことがわかった。自殺をした前後には,少年のページを見た数人から,秋田県警に安否を問う電話が複数寄せられており,ページ上で自殺を予告するかたちとなった。

 遺書。「腐れ同盟の皆さんならびに僕にかまってくれた皆さん 本当にありがとうございました。僕は今まで友達もいなくて誰も信頼できなくて ずっと寂しかったです。…その他会員の皆様,色々とご迷惑おかけしました。僕は今日自殺します。自殺するので僕の本名なども公開します。僕も普通に幸せに生きたかった。秋田県秋田市の、マンションから飛び降りる予定です。-といいます。両親へは特に何もありません。こんな事になるのなら生まないでほしかったです。本当に,さようなら。短くて苦しい18年間でした。会長ガクト」

 少年のページは,警察からサーバー管理者へ連絡が行き,削除されている。そのページに集っていた者たちの掲示板での会話は,リアルの会話より,重みがある。存在の消失,リアルの消滅。ワイヤードの彼の言葉を見ていると,まだ彼は,そこにいるような気がする。記憶と記録は同義なんだ。彼の言葉が残るかぎり,そこに彼は生き続けるのかもしれない。(詳細を書いたページのURLは沈めておきます)。



 
[2000.05.15]
  電子情報保管術


 ▼小渕氏の病状 ネットに 院内の電子情報流出か?(asahi.com ネット最前線)
  http://www.asahi.com/tech/jiken/20000514a.html


 「地検特捜部」が首相の容態を把握しておく必要もあったのかもしれない。そうだとすると,病院は電子カルテを不用意に「提出した」と考えるのが自然だ。そして,地検特捜部筋から「流出した」。2重の電子情報保管の過失,か。流出した情報を,元のサヤに戻す術はない。

 脳梗塞で順天堂大学付属順天堂医院に入院した小渕前首相の診療録を,東京都内の弁護士がホームページに掲載していることがわかった。小渕前首相は「佐藤洋一」という偽名で診療録が作られており,入院当初の記録が書き込まれている。順天堂医院でも電子診療録情報の流出に気付き,偽名を変更するなどの対応をした。診療録を掲載した弁護士は,入手先について「東京地検特捜部関連筋の情報」ということ以外,明らかにしていない

 すべてかどうかはわからないが,ある程度は本物であるらしい診療録。なんにつけ,本人の死去が公式に発表される直前に起きた「不祥事」は,なんともやるせない気分にさせてくれる。

 果たして,小渕前首相のカルテを目標に定めて入手されたものなのか,誰のカルテでも盗める状態で小渕前首相のだけを入手したのか。カルテを保管しているコンピューターが外部ネットワークと接続してるとは考えないとすると(せめてそうであって欲しいですな),ソーシャル的な窃盗があったのか。それとも,意図的に外部に流され,さらに過失で流出したのか。電子情報は,実は物理的な書類などより流出しやすい。いや,流出を食い止めることは不可能,なのかもしれない(潜在的には)。すべての情報が,流れ出るリスクを持っている。ただし,人間の過失は,常に,あるけどね。



 
[2000.05.14]
  新世紀への扉


 ▼WWDC Preview (Mac OS Rumors)【英語】
  http://www.macosrumors.com/


 新世紀には,期待とともに不安もある。当然のこと。まったく違う世界がそこにある。

 来週行われるアップル社の世界開発者会議(WWDC)で発表されそうな項目。G4マルチプロセッサ計画のアナウンス(100%)。デュアル・クアード・プロセッサーを積んだG4の出荷(35%)。開発者へのマックOS Xベータ版リリース(90%)。顧客テスターへのマックOS Xベータ版リリース(75%)。一般利用者へのマックOS Xベータ版リリース(20%)。最強の3Dツール「Maya」マックOS X版のアナウンス(50%)。PDA製品開発について(65%)。

 さあ,WWDC。基調講演のスティーブ・ジョブズはどんなアナウンスをするのか。マックOS Xのデベロッパーリリースは確定的(MacWIRE ONLINEの記事)。一般へのベータリリースというのはニュース的にはそそられるが,そこまで気前よくはないだろうな(^_^;)。現在SGI版・NT版がある本当のプロ向け3Dアニメーションツール「マヤ」のOS X版というのも,ニュース価値は大きい気がする。まぁ実際,基調講演はOS Xで埋め尽くされるというのがおおかたの予想。今はハードの向上よりもOS Xに全勢力を注ぎ込んでいる姿勢が大事,てな感じ。AppleInsiderもG4 MPなどには否定的(AppleInsiderの記事)。だが,アップルはかなりの期間,ハードはマイナーアップデートしかしていない。低迷している株価(値動き)を打開する鍵が新しいPDAであるという期待感も強い(MacWIRE ONLINEの記事)。さてさて,どうなることやら。

 たとえハードになにがあろうとも,主役はOS Xなことは変わらない。ウインドウズ2000にはNTというベータ版があったが(^_^;),マックOS Xは,今までのマックOSとは別物だ。まったくの,完ぺきに,新しいOS。それこそ,マックの新世紀への扉。静かに開いてくるその扉の先,見える光は,如何か?



 
[2000.05.13]
  大冒険


 ▼Webの「地図」の研究成果が公表。10%はリンクされていない(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0512/bowtie.htm


 大航海時代,スペインの軍艦を操る艦長,ポルトガルの商船を進める商売人,そして名もなき冒険者たち。なんとも頼りない限りの,たった1枚の地図を手に持ち,見果てぬ地へと船を進める。現代であっても,鉄道路線図を見るときの胸の高まり,道路地図を目でたどっていく楽しさ。地図には,いつも冒険心が詰まっている。

 IBMリサーチ社らの研究員が,ウェブの地図を作成する研究を行い,その結果を公表した。ウェブは,10%のまったくリンクされていない地域を除くと,4つの領域にわけられる。4つの部分とは,非常に強力にリンクされている部分,そこに接続している部分,そこから接続している部分,そして2・3番目の部分に接続している部分,だ。これは,その地図のかたちから「蝶ネクタイ」理論と呼ばれている。

 地図というよりは構造図という感じ。距離という概念がない場所では,平面の地図というものは描けないだろう。「ここ」と「あそこ」は隣り合わせにもなれば,河岸の先ともなる。地図の通りにたどっていっても一向にたどり着けないところもあるし,思いもしないところにはまりこんでしまうこともある。そして,もう戻ってくれないことも…。

 それは,航海の隔てが解けた,大航海時代のときめきに似ている。この海の向こうに,なにがあるかはわからない。だが,旅立つことはできる。まだ見ぬ世界,まだ見ぬ天地。冒険心があるかぎり,この地の地図は,どこまでも続いている。冒険心があれば,どこまでも,行ける。



 
[2000.05.12]
  segaを誇りに思う日


 ▼ゲーマーの祭典『E3』、今年の焦点は?(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20000511305.html


 たとえば,ホンダがそうであるように,ソニーがそうであるように,日本人が誇りに思える企業はいくつかあるかもしれない。そのなかに,セガの名前が刻まれる日が,来るかのような意気がある,E3。

 10日から,テレビゲーム業界最大の見本市エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ(E3)が開催されている。まもなく発売となるソニー・コンピューター・エンターテインメントのプレイステーション2北米版の発表,大々的なお披露目となるマイクロソフト社のXボックス,次世代機の期待を高める任天堂,そして,ゲームタイトルの評判が高そうなセガ,さらにPCゲームと,話題は尽きない。

 プレステ2が(問題を起こしながらも)順調に軌道に乗ったソニーは,国内では怖いものなしとなっている。だが,米国ではまだ勝負付けはすんでいない。10月発売のプレステ2(Impress PC Watchの記事)への期待感は,ドルフィンやXボックスより断トツにあるというわけではなく,先手のセガの充実ぶりの方にも目が行きそう。

 そのセガは,ソニックアドベンチャー2を発表(セガのウェブページ)。より米国人向けになってそうな感じがするのは…気のせい?。また,今年中に発売が予定されている完全ネットワークRPG「ファンタシースター オンライン」の画像,動画も掲載(セガのウェブページ)。コンシューマーネットゲーでのアドバンテージを築けそうだ。国内ではプレステに押さえ込まれている形だが,それは国内市場が言い様のない閉塞感に包まれているせい,…の気もする。打ち破るのは,世界からの返り討ち,かもしれない。世界での勝算確率は,まだまだ高い。ファンタシースター オンラインでいち早く地球規模でのゲームを模索しているのだから,それくらいの気高さを見ていたい。



 
[2000.05.10]
  誰か,奴を,捕まえろ!?


 ▼The Case For Microsoft(TIME.com)【英語】
  http://www.time.com/time/magazine/articles/0,3266,44557-1,00.html


 メリッサを作ったのはデビット・スミスではなく,ラブ・バグを作ったのはマニラのカップルではなく,真の犯人は,別にいる。無頼な自信は,その犯行の大胆さに通じるいるのか? 誰か,奴を,捕まえろ!?

 マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長が,タイム誌の5月15日号に寄稿している。その文章から。OSとアプリケーションの共同開発はイノベーションと未来を切り開いてきた。しかし,それが分割されてしまうと,例えばその双方を密接にして開発していかなくてはいけない新しいポータブルPCの開発が潰されてしまう。消費者の利害を考えると明らかに反対しなくてはいけない。また,ラブ・バグウイルスに対策を施したウインドウズとオフィスを消費者が得ることも,難しくなってしまうだろう。

 ここまで自信たっぷりに云われると,云いたかったことも忘れてしまうほど…,いや,もう一度,思い出そう。ラブ・バグ関連の記事でいちばん面白かったのは,ZDNetの「MicrosoftにI Love You」だ(記事)。いわく,「Outlookは,電子メールクライアントの形をしたセキュリティホールだ」。

 サーバー関連ではなく(いやそれも大きな問題だが)MSのPCに対する重大な過失は,今まではワード・エクセルのマクロ。そして現在がアウトルックだ。何年にも渡って野放しにし,多くのウイルスを排出したオフィスのマクロ機能は,オフィス2000で,やっと,やっと,本当にやっと手が付けられた。ゲイツはラブ・バグに対策を施すといっているが,上記記事中では,MSセキュリティ広報はMS独自で対応することはないという。これじゃ確信犯だよねぇ。



 
[2000.05.09]
  ハイジャック犯が隣にいたこと


 ▼少年犯罪@2ちゃんねる
  http://tako.2ch.net/youth/index2.html


 自分のつくった掲示板スレッドにレスした人,自分の書き込みの後に続けて書き込みしていた人,が,バスをジャックし,刃物を突きつけ,人を殺し,日本中に混乱を起こす。すぐ隣にいた犯人と,私の関係は?

 4日の早朝に解決したバスハイジャック事件で,犯人のものと思われる掲示板の書き込みが話題になっている。その書き込みのスレッドは2ちゃんねるの「佐賀県佐賀市17歳・・・。」(←書き込みが3000件を超えているので重いです)というスレッド。書き込み時刻はバス出発のちょうど前。同名のハンドルネームは以前にも書き込みをしており,書き込み者同士の口論に発展したこともあった。また書き込みが一時ストップしていた時期は,少年が精神病院に入院していた時期に重なる。少年はパソコンを使用していたことも明らかになっている。

 大きな事件の犯人なんて,身近にいるとは思わなかった。テレビの中の知らない風景の中に,いつもそんな犯人はいた。もちろんあったこともないし,名前も聞いたことがない,言葉を交わしたこともなければ,顔を見たこともない。それが普通だった。でも,今回は,すぐそばにいた。驚くほど,近くにいた。

 否。そんなものは驚きに値しないのかもしれない。本来知ることもないような,裏情報や怪情報,危険な情報などに接することも,ここでは簡単だ。リアルであれば立ち入るのをためらってしまう地域というものはあるが,ここにはそんなものはない。好奇心さえあれば,どこへだって行ける。誰とだって会える。それ自体は,危険でも,なんでもない。そこでどう行動するか,どう接するか,自らが試されるだけなんだな。



 
[2000.05.07]
  グヌーテラの道先


 ▼Gnutella porn surfers exposed(ZDNet News)【英語】
  http://www.zdnet.com/zdnn/stories/news/0,4586,2561681,00.html


 万能の道具は,万能さが仇となる。諸刃の剣と,なる。どんな道具も使う人間次第。道具には,悪い道具もよい道具もない。あるのは,悪い知恵持つ人間だけ。自由に進化することが許されているグヌーテラは,どんな道を進んでいくのか。その道先は,まだ,見えない。

 音楽ポータルサイトのZeropaid.comは,グヌーテラのサーバー上に児童ポルノらしきファイルを置き,そのファイルをダウンロードした人のIPアドレス,ドメイン名,時間などを公表するウォール・オブ・シェイム(Wall of Shame・恥の壁)を開設した。これによってグヌーテラが浄化してくれることを望んでいる。だが,苦情も多く寄せられており,また,これはメインのグヌーテラネットだけで,個別のネットワークを監視することはできない。

 ウォール・オブ・シェイムのページでは,グヌーテラやナップスターで接続してくる人のIPアドレスなどを知るためのツール「スパイスター」のダウンロードもできるようになっている。掲示板には,「young.jpg」や「preteen.jpg」「teen.jpg」というファイルをDLしている人がすべて児童ポルノを探している人とは云えない,という意見も書き込まれている。が,この「恥の壁」の公開を続けるべきかという投票では,「続けるべき」が7割を超えている。これには,児童ポルノに対する批判の強い米国の国柄も考えるべきだろう。

 なんでも共有できるグヌーテラを,なにに使うのか。音楽や動画などに使っている人からみると,児童ポルノに使われて,なんらかの規制が入るのはたまらん,という感じだろう。だが,進化し続けているグヌーテラは,そのうちスパイスターをブロックすることが予想される。利用者が何を望んでいるか,匿名を望んでいるのか,児童ポルノを望んでいるのか,ポルノなどない社会を望んでいるのか。まぁおおかた予想はつきそうだが(^_^;),それが,グヌーテラの進化の道筋となっていく。



 
[2000.05.06]
  愛の,犠牲


 ▼Now That Was a Nasty Worm(WIRED NEWS)【英語】
  http://www.wired.com/news/technology/0,1282,36119,00.html


 予想通り,米国でも猛威を奮うラブ・バグ。休日でラブ・レターを受け取ることもない日本企業は幸運だったか。それによる犠牲を受けずにすんだんだし。

 「ラブ・バグ」ウイルスは水曜日に,国防省,英国議会,NASAなどを含む多くの電子メールサーバーをシャットダウンさせた。AT&T社は14万人の従業員の電子メールをストップさせ,ウォルト・ディズニー社のメールサーバーは1日中ダウンしていた。木曜日には,「ジョーク(Joke)」「ベリー・ファニー(Very Funny)」という名に置き変わった亜種も出始めている。

 ラブ・バグは,メールのほかにも,ネットワークやmIRCチャットなどでも自らを伝播させていく。mIRCで観戦していくウイルスは以前にもあった(過去記事)。メリッサはアウトルックのアドレス帳の50人に送っていったが,ラブ・バグは全員だ。メリッサはよくよく考えればファイルをばらまくだけで自分のパソコンの中に被害はないが,ラブ・バグは,ファイルを破壊する,徹底的に。すべて前ふりがあったんだ。みんな,そんな存在が出てくることを予想はしていた。だが,それを止める術は,なかった。

 シーメンス社のドイツ本社やマイクロソフトのドイツ支社でもさえ,ラブ・バグの影響を受けたというニュースもある(WIRED NEWSの記事【英語】)。FBIも調査に乗り出したという(ZDNet Newsの記事【英語】)。愛の被害,愛の犠牲はいつも大きいもの。週明けの日本も気をつけて欲しいですな(なんか愛愛愛云ってていや〜んな感じ)。



 
[2000.05.05]
  愛ほど興味心をくすぐるものは…


 ▼'Love' virus infects e-mail systems(MS NBC)【英語】
  http://www.msnbc.com/news/403350.asp


 「愛」はいつも嘘に満ちている? でもそれを信じなければ生きていけない? なら,ラブレターはちゃんと見ておかないとね(はぁと)。

 メリッサ以上の増殖力と破壊力を持ったウイルス(ワーム)「ラブ・バグ」が,火曜の朝に香港で報告され,水曜日の朝,ヨーロッパで猛威を奮った。このウイルスは,メールで「私からのラブレターをチェックしてくれ」というメッセージとともに,「LOVE LETTER FOR YOU」という添付ファイルを届ける。だがそのファイルはビジュアルベーシックスクリプトで書かれており,開くとハードディスク上のすべてのJPEGファイルとMP3ファイルを消去する。その後,ウイルスはアドレス帳にあるすべての人に同様のメールを送信する。あるヨーロッパの主要な雑誌社は,過去2年間のすべての画像データベースを失った。英国下院を含む多くのコンピューターシステムがウイルスを阻止するため,メールサーバーをシャットダウンした。

 メリッサの,悪夢再び,といったところだろうか(過去記事)。まず英国などのヨーロッパで火がついている。次いで米国にも飛び火するだろうか。連休まっただ中の日本は静かだが,連休明けに,みんなが一斉にメールサーバーからメールを取り出したとき,騒ぎが起きる,かな?

 たとえば,ウェブを制作しているような会社であれば,すべてのJPEGデータが消えるなんてとんでもない。画像データベースを失った雑誌社というのも,ちょっと気の毒だ…。まぁ知り合いから「このラブレターを見てくれよ」なんてのが来たら,冷やかし半分で開いてしまうのもありそうな気がする。「スパイダー(spyder)」と名乗るこのウイルスの制作者,人の興味心をそそる術を心得ている。



 
[2000.05.04]
  アトミック・ボム,ナノ・テック


 ▼ナノテクノロジー(CNET Japan Special Reports)
  http://japan.cnet.com/Content/Special/Nanotechnology/


 原子爆弾開発を指揮した男は,原子の大きさが,地球の大きさなどよりも大きいことを知っていたのかもしれない。原子爆弾,原子技術,が,地球を覆い尽くす。

 マンハッタン計画が原子力を解き放ってから半世紀,ハイテクも原子レベルの時代となりつつある。分子サイズのトランジスタを埋め込んだパソコンは,今日のパソコンの1000億倍の速さで動く。いつかは,目に見えないほどのコンピューターが洋服に縫い込まれ,さらにナノテク機器が,私たちの体内に居場所を見つけるかもしれない。

 米国の原爆開発を担ったマンハッタン・プロジェクトは,1942年に組織された軍事政策委員会の下で全般的政策がなされた。その委員長だったのが,科学研究開発局長ヴァニヴァー・ブッシュ。彼はその一方で,現在のウェブの起源を作った,とも云われている。ブッシュが45年に発表したメメックス(MEMEX,記憶の拡大構想)は,個人がすべての蔵書,記録などの情報を機械化して蓄積し,柔軟な検索システムによって自由にそれにアクセス,利用できるというもの(まさにウェブそのもの)。情報は連想を促し,関連する情報へと繋がっていく(リンクの概念に通じる)。膨大な情報を簡易に検索・入手するためには,圧縮による保存と伝達が必要となる(ウェブ上の動画・音楽の圧縮技術に通じる)。

 原子が地球の大きさを破壊するのを見るうちに,彼の頭の中で,誰も思い寄らない地球を覆う情報システムの構想へと繋がった,というのはどうだろう。50年以上の歳月の後,原子レベルの機器がメメックスの道具として,動き出す。原子サイズの機器が,地球を覆うネットワークにアクセスしようとして,いる。



 
[2000.05.03]
  見えない君を探して


 ▼空間対話型プロジェクト“Dialog in the Dark KOBE 2000”より(ASCII24)
  http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/2000/0502/topi01.html


 君のまなざし,君の鼻先,君の耳朶,君の朱唇,君の鎖骨,君の胸元,君の…。私はなにも見ることができずにいる。でも,それでいい。五感,なんてたいしたことがない,なにかで繋がっているのを,感じている。

 5月2日〜7日,神戸市のジーベックホールでダイアログ・イン・ザ・ダーク・神戸2000が開催される。これは,視覚が完全に遮断された真っ暗な空間を体験するイベント。最先端のデジタル音響機器で,体験者は物理的な広さを感じ取れなくなる。主催者は,このイベントを「デジタルとアナログの融合としてだけでなく,人と人,人とモノとの関係を考えなおす機会を与えてくれる」としている。

 演劇を観に行くと,なぜいつも照明が落とされて,真っ暗の中で演じられるのだろうか。私の人生がドラマだとしたら,真っ暗の中で起きる出来事なんて滅多にないのに。大事なところでスポットライトを当てられることなんてある訳ないのに。大切な人と出会った日も太陽は燦々と照っていたし,辛くて涙を流していたときにも蛍光灯の灯は煌々と照っていた。でも問題なのは,いつも明かりに包まれているからといって,なにもかもが見渡せているわけではない,ということなのかもしれない。

 ワイヤードで出会った君。私は君の姿を見ることはない。そこまで,私は自分をメタファライズできない。いろいろな人と繋がって,でも,誰の顔も見たことがない。ここでのコミュニケーションに視覚はない,臭覚もない,聴覚もない,そして触覚もない。だが,「なにか」がある。リアルの五感とは違う,そして五感が及びもつかない,なにか。そのなにかによる繋がりは,視線の交錯や,手の触れ合いよりも,強い。いったい,なんなのだろう? もしかしたら,暗やみの中でのドラマを体験したら,わかるのかも,しれない,ネ。



 
[2000.05.02]
  唯一無二の解決法


 ▼司法省と各州のないものねだり(PC WEEK ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/pcweek/news/0004/29/00042901.html


 今日の記事は,MS支持者には向きません。。。MSの今までの行動はすべて悪であったという意見にそって進める。

 マイクロソフト社に対する反トラスト法訴訟に関し,28日に提案された2分割是正措置は,ないものねだりをしても差し支えない年俸交渉のようなものだ。IT業界からはこの提案は行き過ぎた部分があるという意見もあり,業界のネットワーク全体をデザインし直さなければならない,という意見もある。

 問題の根っこのところを考えたい。OSの完全な支配というのは,たいしたものだ。誰もそんなことができるなんて思っていなかったが,現実には世界のパソコンの9割がたはウィンドウズだ。そしてその現状は,明らかに他企業の正規な発展を阻害してきた。下手に新興企業が力を持てば,あげくはMSから圧力が加わるか(ウィンドウズAPIの提供拒否など簡単だ),または買収されるかのどちらかだ。かといって,MSが素晴らしいソフトウェアを生産しているのではない。MSのソフトウェアは,ただ,OSに乗っかっているだけだ(そしてOS自体も素晴らしくないから誰も手が付けられない)。現時点で,MSに対抗できているのはAOL一社のみ。アップルでさえ,マック版オフィスの供与を受け,資金をもらい,MSの独禁法阻止の駒となっていた。すべての会社がそうであり,ましてや新興ソフトウェアメーカーが,独自のアイディアと,技術と,やる気とを持ってしても,MSに太刀打ちできるなどとは最初から思わない。そうして,幾多の発展が地に埋もれてきた。シリコンバリーはいつも活気に満ちているように感じさせるが,MSがいるかぎり,もしかしたら日の目を見たかもしれない大いなる発展は,常にかき消されてきたんだ。そして,ワイヤードも。

 ウィンドウズの支配がいつ終わるのかはわからない。すべての問題の原点は,このOSの支配でしかない。だから,MSに対して厳罰を与えるのであれば,OSの徹底的な封じ込めでなくてはならない。いかにしてウィンドウズのシェアを下げるか,が,制裁の要点である。MS2分割という制裁は,その要点をまかなうことができるか,を考えて,評価としたい。




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